一白水星丙午・令和8年のスタートにあたって—未曽有の世界の激震と対峙する私たちは、それでも信じた未来に向かって敢然と歩を進める

2026年を表す漢字一文字は“進” 一白水星丙午は、新たに構築されるパラダイムの下で夢の実現へと邁進する時
八田靖彦 2026.01.01
誰でも

新年明けましておめでとうございます。

昨秋より、この『The Letter』紙上で私の文章を読んでいただき、誠にありがとうございました。

皆様、穏やかな令和8年のお正月を迎えられましたでしょうか。

今年の干支は丙午(ひのえうま)、一白水星の年となります。

恵方(歳徳)は丙の方・南南東で、暗剣殺は子(北)の方となります。

丙午の“丙”は新芽が伸びて葉が広がった状態、太陽の恵みや情熱、成長を意味します。

“午”は、お餅をつく際に使う杵の象形文字です。

物事が交差する、逆らう、ピークを迎えることを表します。

季節で言えば真夏。また動物に譬えると文字通り“馬”を表し、発展、飛躍、飛翔を意味します。

“丙”“午”ともに五行では“火”に属し、炎のように燃え広がる勢いの強さ、激しさを象徴します。“陽”のエネルギーが大変強まる年となるので、全てが火の勢いで表に露見し、現行の体制がガラッと変わる暗示があると言えるでしょう。

溢れるようなエネルギーを背景に、社会ではエンタテイメント、レジャーが盛り上がり、文化が爛熟期を迎える雰囲気です。個人では恋愛が華やかになったり、積極的、精力的な行動で夢や目標を達成する可能性も高まりますが、一方で短気や強引な手法に陥り、パワハラや誹謗中傷による告発で失脚する可能性も強く孕んでいます。例年以上に、行動や言動によるトラブルには注意が必要な一年となるでしょう。特にSNS上でのハラスメントに起因する訴訟案件が、今年は飛躍的に増大する気配です。

また、火山の噴火、大規模な火災の発生にも警戒が必要と言えるでしょう。政治面では、過去の丙午を紐解くと1786(天明3)年には江戸幕府第10代将軍徳川家治が薨去し、同時に権勢をふるった老中・田沼意次が失脚しています。日本初の女性総理として大きな期待を担って登場した高市早苗政権ですが、今年は政権存続の真価が問われる場面に見舞われるかもしれません。経済面では、午年は株式市場で“午尻下がり” という格言があります。好調だった“辰巳天井”の反動を指摘する下落を示唆した言葉ですが、一方で前回の丙午であった1966(昭和41)年は、戦後最長の“いざなぎ景気”が始まり、まさに駿馬の如く、日本が高度経済成長の頂点へと駆け上がる年でもありました。今年はAIやヘルスケア、半導体、宇宙産業関連を中心に、成長が見込まれる分野も多くあります。少しでも良い景気を、期待したいものです。

今年の年運である一白には“交合、色情、親愛、引力、慈愛”といった象意があります。また“貧困、苦悩、孤独”といった、“闇”の面も強調されます。“水”の星ですので、今年は皆が水のように多くの人から必要とされ、多くの新しい恋愛や共同事業がスタートする暗示です。紆余曲折を経た男女が魂の再会を果たしたり、一気に恋の炎が燃え上がるケースが増えそうです。一方、苦労を暗示する星でもあるので、一段と厳しい経済状況による、生活苦との戦いを強いられる方も増えるかもしれません。また“水”の影響から、先述の “火”の禍と同様、自然災害面では“水害”にも注意したいところです。台風や豪雨、津波による大規模な災害の発生が懸念されます。前述の、過去の丙午の年であった1786(天明3)年には『天明の大洪水』が発生し、関東地方に大きな災害を齎しました。いつ何時天災が起こっても対処できるよう、枕元にリュックと靴を備え、すぐ避難できる態勢を整えておきましょう。

今年の納音(なっちん)は天河水(てんがすい)。

雨や露が集まって形成された豊富な自然の河を指し、万物を潤し、大いに徳を施すとし、人ともに相親しみ、多くの人に愛される大器、という意味です。一方で気まぐれで、移り気的な性格も強調されます。多くの人々との交流で、華やかな一年が示唆されます。

二十八宿は、星宿(せいしゅく)。

今年は、次の新しいサイクルに入る節目、これまでとは違った、自分らしい生き方を模索するターニングポイントの年です。かねてより興味、関心のあった分野の勉強、研究に本格的に取り組んだり、習い事や免許・資格の取得に適しています。また、忙しさから体調を崩したり病を得てしまった人にとっては、入院をするなど、本格的に療養して健康を取り戻すことが必要とされる月とも言えるでしょう。不安や迷いが出やすく、進むべき道を模索するタイミングでもあります。プライドが高くなる傾向があるので、丙午の“火”の影響と併せ、他人に対して知らず知らずのうちに傲岸不遜な態度を取らないよう、注意しましょう。

過去の“午”の年を振り返ると、古くは1582年(天正10/壬午)年→本能寺の変、1702年(元禄5/壬午)→赤穂浪士討ち入り、近代以降は1894(明治27/甲午)年→日清戦争勃発、1918(大正7/戊午)年→米騒動、1954(昭和29/甲午)年→ビキニ環礁核実験で第五福竜丸被曝、洞爺丸事故で1155人死亡、1966(昭和41/丙午)年→黒い霧事件、1978(昭和53/戊午)年→日中平和友好条約調印、成田空港開港、1990(平成2/庚午)年→湾岸戦争、東西ドイツ統一、バブル崩壊、2002(平成14/壬午)→北九州監禁殺人事件、拉致被害者5人帰国、2014(平成26/甲午)→国民的テレビ番組『笑っていいとも!』終了、御嶽山噴火、広島土砂災害と、“午”に込められた“物事、時代の交差、ピーク”を象徴する出来事が多く発生しています。今年は、これまでの偽りや隠し事などが露見し、社会構造が大きな変革を迫られる暗示があります。また個人に於いても不倫の露見や仮面夫婦の離婚、上辺だけの人間関係の清算、お金だけをメリットとした仕事からの離職が起こり、誰もが“本物”や“真実”を渇望し、追い求める年となるでしょう。

また、過去の“丙”の年には、1946(昭和21/丙戌)年=幣原喜重郎→吉田茂、1956(昭和31/丙申)年=鳩山一郎→石橋湛山、1976(昭和51/丙辰)年=任期満了解散で自民党大敗、三木武夫→福田赳夫、1986(昭和61/丙寅)年=衆参ダブル選挙で自民党大勝、1996(平成8/丙子)=初の小選挙区制総選挙と、首相の交代や総選挙といった、歴史の大きな転回点とも言うべき出来事が発生しています。昨年は日本史上初の女性総理が誕生しましたが、今年は“火”の影響で、再び日本に政変が起こる可能性があるかもしれません。

西洋占星術の観点で言えば、年初は1月2日から17日まで、太陽・水星・金星・火星の山羊座ステリウム(惑星集中)となります。この時期はまさに皆が一年の計をしっかりと立て、社会でどのように責任を果たしてゆくかを考え、行動する2週間となるでしょう。この時期は市場が暴落したり、または連立政権の構成に変化が起きる動きが顕わになるなど、社会構造に変化が起こる可能性もあるので注意しましょう。27日には、海王星が牡羊座へ完全に移行します(~2038.5.22)。165年ぶりの牡羊座入りですが、前回滞在した1861~75年の間は、日本は大政奉還~明治維新、米国は南北戦争が起こり、まさに国家体制を揺さぶる出来事があった期間でした。今回の海王星牡羊座期間も、戦乱や憲法改正など、国家の未来を左右する何らかの大きな事象が起きるかもしれません。2月14日には、土星が牡羊座へと完全に移行(~2028.4.13)。誰もが社会的立場を強く意識し、生涯を共にするパートナーの選定と結婚の選択、人生の基盤を整えようと奮闘する2年間の旅へと入ります。そして今年の注目ポイントと言えばやはり、2月20日の土星と海王星の合(コンジャクション)でしょう。土星と海王星の合は36年ぶり、前回は社会を象徴する山羊座で起こりました。時は1989年。この年はベルリンの壁が崩壊し冷戦が終結するという、近代史に残る歴史の転換点となりました。今回の土星と海王星の合は牡羊座の0度(宇宙の春分点)で起こりますが、これはなんと323年ぶりとも、168年ぶりの出来事とも言われています。1703年頃といえばスペイン継承戦争が激化し、またロシアのピョートル大帝がサンクトペテルブルクを創建するなど、世界の勢力地図が大きく変わった分岐点となりました。また1858年の日本は、ペリーの浦賀来航に端を発した尊王攘夷思想が沸騰し、その影響か大老井伊直弼による安政の大獄が始まり、これが原因で井伊の暗殺→江戸幕府の崩壊へと繋がる、まさに時代の大転換期を迎えようとしていました。現実、責任、境界を象徴する土星と理想、幻想、溶解を表す海王星の完全なる一致は、まさに現代を生きる私たちに、思考のコペルニクス的転回を促しています。天変地異や大規模な戦争などによる国家の消滅と再編、新しい金融システムの誕生などが起こるかもしれません。全てがゼロに戻り、地球に新しい種が蒔かれる、歴史的な瞬間に私たちは、立ち会おうとしています。

4月26日には変革の星・天王星が本格的に双子座に入り、2032年8月4日まで滞在します。これからの6年間はキャッシュレス、AI、ドローンなどが更に普及し、大学の授業やビジネスも対面形式ではなくリモート、WEBでのコミュニケーションが主となるなど、テクノロジーに大きな革新が起きるでしょう。また同じ趣味、方向性、思想を持った人々によるインターネットでの交流、フェデレーション(緩やかな連合体)がやがて組織化され、“国家”という存在を凌駕してゆく萌芽が、あちこちで勃興してゆくでしょう。

6月30日には、木星が獅子座に移動します(~2027.7.26)。今年の夏から来年にかけては、音楽や映画、演劇やアニメ、ゲームなどエンターテイメントの世界で新たな才能や世界的に評価される作品が登場し、社会が華やかなムードになるでしょう。またこの時期は、不透明な世情を背景に、カリスマ性を持ったリーダーやスターの登場を待ち望む雰囲気が醸成されます。表舞台に立つ人物の真贋を、見極めたいものです。

冥王星の水瓶座への完全移行に伴い、正式に“風の時代”がスタートしました。水瓶座にはインターネット、新しいネットワーク、共に生きる仲間、フラットな人間関係、得意分野、予想外の変化、といったキーワードがあります。今後2044年までの20年間で、これまで大きな権威・権勢を誇った政党、大企業や大学、銀行、テレビ・新聞、宗教団体などがその影響力を失い、弱体化の一途を辿るでしょう。組織に寄り掛かって生きる時代ではなく、送信ボタンひとつで“風”のように自分の意志を届ける文明の利器=SNSを使って、そこでご縁を得た仲間と手を取り合い、助け合って生活を営む姿が、スタンダードとなってゆきます。自らの人間性と社会性を涵養し、剥き出しの個人の実力で勝負してゆく時代に突入しています。誠実な人には生きやすい時代ですが、性格の悪い者、人徳なき者、常識に欠ける者は社会から淘汰され、脱落してゆく厳しい時代と言えるでしょう。

一説には、新約聖書の『ヨハネの黙示録』に記されている7年間の“大患難時代”は、2025年から2032年の間を指すとも言われています。複数の国家の消滅・滅亡等で、多くの人命が失われる可能性もあるでしょう。まさに“神による選別”が行われる厳しい時代に入ったという覚悟をいま、私たちは求められているのかもしれません。

上記を挙げた上で、姓名学者として、令和8年/2026年を象徴する漢字一字を挙げるなら、としたいと思います。

進学、進級、進水、進化、前進、邁進。

私たちがかつて生きた“土の時代”に主流を占めたものは力を急速に失い、遠い記憶の彼方へと消え去ってゆきます。“風の時代”という新しい時代へのLAUNCH(進水)、人間としてのEVOLUTION(進化)。パラダイムの転換期に伴う激しい混乱、混迷の中でも、ひたすら誠実に“徳”を積み、善き“ムスビ”を得て、この険しい時代を進みたいものです。

年頭に当たり、今年は昨冬、没後半世紀を迎えた朝日新聞記者・深代惇郎(1929~1975)が、青春時代に書き留めた文章の一節を引きたいと思います。

みんな生きている。

喜んだり涙を流したりして、みんな生きている。

他人をだまし、自分に嘘をつき、大声で喚き、小声で囁きながら、彼も生きている。僕も生きている。

毎日が死への歩みである事を知りながら、そして死ぬ事を恐がりながら、みんな生きてゆく。

自分が何者であり、何処から来て何処へ往くのかも決して知る事なしに、みんな生きようとしがみついている。

「生」という牢獄の中で、生まれた時から死刑を宣告されて、囚人達はひしめき合っている。親兄弟が、友達が、一人二人とこの獄から引き出されて知らないどこかへ連れてゆかれるのを見ながら、囚人達は自分の番を待っている。

みんな何か考えているのだ。みんな何か欲しがっているのだ。

だから互いに淋しがりながら肩を組んだり、互いに強がりながら肩をいからしたりする。他人を罵って一番良い席を陣取ったり、他人に席を譲って気を晴らしたりする。此の泥まみれの雑踏の中で、キラリと光るあの美しい真珠を見つけるからこそ、処女(おとめ)の涙のようにコッソリ光っているあの清らかな宝玉を見つけるからこそ、僕は生き甲斐を感ずる事が出来る。

僕のように淋しがりやで、僕のように嘘つきで、だから僕のようにかわいそうな、あの人もこの人もみんな好きにならずにはいられない。

朝日新聞社刊『深代惇郎の青春日記』

後に『天声人語』の筆者として、史上最高のコラムニストと評された深代は、46歳の若さで白血病に倒れ、風のように去ってゆきました。しかし、彼が遺した珠玉の言葉たちは、没後50年を経た現在も、その輝きが失われることはありません。

人生とは長さではなく、短くともどれだけ生命を熱く燃やすことができたか、です。

今年も昨年に続き、“魂”のふるい分けが起きる激動、激震の年となりますが、風の中で燃え盛る“火”の如く、この肉体を纏った一度きりの人生を、燃やしていきましょう。

令和8年、皆様の魂が、太陽の恵みの下で思い切り輝くことができるよう、心より祈念しております。

(了)

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